原因
ここでは急性リンパ性白血病の原因について紹介しています。遺伝との関連性や診断方法をまとめているので、参考にしてみてください。
急性リンパ性白血病の原因とは?
急性リンパ性白血病の明確な原因は不明です。ウイルスや有機溶剤、喫煙などさまざまな原因が考えられているものの、今のところ関連性は分かっていません。
ただし大量の放射線治療や抗がん剤治療を受けた後はリンパ系にある幹細胞ががん化しやすく、白血病が起こりやすいといわれています。そのため、放射線や抗がん剤での治療を受けられている方は注意が必要です。
急性リンパ性白血病と遺伝の関連性
急性リンパ性白血病は遺伝性の病気ではないため、親から子供に症状が遺伝することはありません。
しかし、染色体の異常により白血病にかかるリスクが高まることがあります。
急性リンパ性白血病の場合はヒトに共通している23染色体のうち、9番と22番の染色体の先端が切れてくっつく異常が発生。くっついた染色体は「フィラデルフィア染色体(Ph)」と呼ばれ、白血病細胞を増殖させる異常なタンパクをつくってしまいます。
フィラデルフィア染色体を持っている方が白血病にかかってしまうと増殖のスピードが上昇。フィラデルフィア染色体を持っていない人に比べ、急激にがん化が進行してしまいます。
急性リンパ性白血病の診断方法と検査方法
血液検査
血液中の細胞が増減しているかをくわしく調べる検査です。白血球の数が異常に多かったり少なかったりといった症状のほかに、通常は見られない芽球(白血病細胞)が無いかを調べます。
骨髄検査
診断と病型分類のために必要なのが骨髄検査です。骨髄検査には骨髄穿刺(こつずいせんし)と骨髄生検(こつずいせいけん)の2種類があります。
骨髄穿刺
骨髄穿刺(こつずいせんし)では腸骨や胸骨に細い針を刺し、骨の中にある骨髄液を注射器で吸引して採取。骨髄液中の細胞を顕微鏡で調べます。骨髄液を吸引する際は痛みがありますが、すぐにおさまるものです。
骨髄生検
骨髄生検(こつずいせいけん)では、腸骨にやや太い針を刺し、骨髄組織を採取します。
採取した骨髄液や骨髄組織から染色体検査や遺伝子検査、抗原を特定する細胞表面マーカー検査を実施。骨髄検査は治療効果を判定するため、治療中も何度か行います。
染色体検査
患者から採取した骨髄液を用いてフィラデルフィア染色体の検査を実施。フィラデルフィア染色体は第9染色体と第22染色体の組み換えで起こるため、組み換えが起こっていないか確認する必要があります。
遺伝子検査
患者から採取した骨髄液を使い、逆からコピーした遺伝子を増幅するRT-PCR法で遺伝子検査を行います。BCR-ABL融合遺伝子といった急性リンパ性白血病で見られる特徴的な遺伝子の異常を特定することが可能です。
胸部X線検査
左右の肺や胸骨などに囲まれた縦隔(じゅうかく) と呼ばれる部分にこぶや腫瘍が無いかX線で検査します。
超音波・CT検査
がんが周囲に広がっていないか確認する検査です。臓器の異常や合併症の有無、症状の進行具合によって、がん化が疑われる部位をチェックします。
髄液検査
脳や脊髄など中枢神経に白血病細胞が到達していないか調べる検査です。背中から細い針や管を通して髄液をとり、白血病細胞が含まれているかを検査します。