急性骨髄性白血病(AML)の治療費
急性骨髄性白血病の治療では、治療期間が長期化することや、抗がん剤や血液製剤などの費用によって、治療費がかさむ場合が多いです。【注1】
加えて、治療終了後にも再発を防止するための治療代が必要になります。いずれも高額な治療費なので、患者の金銭面での負担も大きいです。
ただし、急性骨髄性白血病の治療は高額療養費制度の対象になっています。この制度により、金銭面での負担を大きく軽減させることが可能です。ここでは、急性骨髄性白血病での治療費がどれほどかかるのかと、高額療養費制度がどのように適用されるのか、またこの制度によって、どのくらい治療費の負担が軽減されるのかを紹介します。
【注1】出典:国立がん研究センターがん情報サービス:急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)
急性骨髄性白血病(AML)の各治療の費用について
抗がん剤を用いた急性骨髄性白血病の治療では、1回の治療で平均50万円から150万円程度の費用が必要です。ただし患者の状態などによって、治療方法や抗がん剤の種類や量を変更する場合があります。それにより、治療費が総額で3500万円を超えた例や、1ヶ月で1,000万円を超える場合もあります。【注2】
【注2】出典:[PDF]健康保険組合連合 けんぽれん':平成22年度 高額レセプト上位の概要[PDF]
また、先端治療を用いる場合には、治療費がさらに増えます。ここでは、標準的な抗がん剤の治療による費用を紹介します。
寛解導入療法による抗がん剤を用いた標準治療では、治療初日から3日間のイダルビシン、1週間のシタライビン、の注射投与による治療を受け、合計で22万円程度の費用が必要です。【注1】
治療後の状態を維持するための抗がん剤治療である、寛解後療法においても症状に合わせて20万円から150万円と、高額な治療費が必要になります。寛解後療法で5日間のシタラビン注射投与を3回行うと、治療費は140万円です。抗がん剤としてトリセノックスを摂取する必要がある場合には、1日分で3万5千円以上の費用が必要です。
さらに、骨髄性白血病が再発してしまった場合の抗がん剤治療も高額です。標準治療ではゲムツズマブイゾカマイシンを2回注射投与します。その費用は140万円程度になります。
【注1】出典: 国立がん研究センターがん情報サービス:急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)
高額療養費制度が適用される?
病院での治療費や薬局での薬代などで、公的医療保険の範囲内での費用は、各代金の3割負担となっています。しかし、急性骨髄性白血病は、治療費が高額で、7割が公的医療保険で支払われたとしても、患者の負担は大きいです。そこで、このような患者の高額な負担を軽減するために、高額療養費制度があります。【注3】
この制度について理解して、適用される場合には、忘れずに申請を行ないましょう。 高額療養費制度では、各月での医療費の自己負担額が定められた上限額を超えた場合、超過額が払い戻しされます。自己負担の上限額は、年収や年齢に応じて決定。医療費が100万円の場合、公的医療保険の3割負担である30万円を窓口に支払いますが、自己負担の上限額が9万円の場合には、高額療養費21万円が後日払い戻されます。
【注3】平成30年7月診察分では、70歳未満で年収が約370万円から約770万円の人の場合は、80,100円+0.01×(医療費-267,000円)が自己負担の上限額です。【注4】
この計算式を月150万円の治療費に適用すると、自己負担額は92,430円、治療費が1000万円の場合は自己負担額が17万7430円になることがわかります。
このように高額療養費制度によって、金銭的な負担を大きく減少可能です。さらに、過去12ヶ月以内に4回以上上限額に達した場合には、それ以降の自己負担の限度額が下がり、金銭的な負担も減ります。
ただし、自己負担の上限額は各月で定められており、月をまたいだ通院、治療では、それぞれの月で支払額が決まります。さらに、先進治療やベッド代、入院中の食事代などの公的医療保険外の費用には、高額療養費制度は適用されませんので注意してください。
[1]高額療養費制度の自己負担額や公的医療保険の範囲は、頻繁に更新されていますので、厚生労働省のホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」などで確認してください。
【注1】急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう)
【注2】「平成22年度高額レセプト上位の概要」
【注3】高額医療費精度を利用される皆様へ
【注4】医療費が高額になりそうなとき