慢性骨髄性白血病(CML)の治療費
20年ほど前から、国内で使用されている化学療法であるインターフェロン。2001年末に登場した、遺伝子標的治療薬「グリベック」。厚生労働省によって、2008年に製造承認がおりたサリドマイド製剤。
サリドマイドは、1957年西ドイツで開発された催眠・鎮静薬。[注1]
出典:[PDF] 財団法人いしずえ:サリドマイド製造販売承認申請の審査等に関する要望書 [PDF]
現在における慢性骨髄性白血病(CML)の治療は、ひと昔と比較すると多様化し、明るい兆しがあるかのようです。しかし、治療費は高額なまま。現在の医学では、多発性骨髄腫は完治する疾患ではありません【注2】。
出典:[PDF] 日本骨髄腫患者の会:多発性骨髄腫のサリドマイド治療の経済的負担軽減に関する要望[PDF]
完治しなくとも、飛躍的な寛解を期待できる治療が目の前にあるのに、経済的な理由から断念せざるを得ない人が多くいるのが現状です。
【注1】中川久嗣(2007)「財団法人いしずえ:サリドマイド製造販売承認申請の審査等に関する要望書」
【注2】堀之内みどり(2009)「日本骨髄腫患者の会:多発性骨髄腫のサリドマイド治療の経済的負担軽減に関する要望」
慢性骨髄性白血病(CML)の治療費は高額
厚生労働省は2008年、多発性骨髄腫の薬として、サリドマイド製剤の製造販売を承認しました。
サリドマイドは、1957年西ドイツで開発された催眠・鎮静薬。[注1]
出典:[PDF] 財団法人いしずえ:サリドマイド製造販売承認申請の審査等に関する要望書[PDF]
サリドマイドは、過去における薬害の深刻な被害から、日本では長年承認されませんでしたが、多発性骨髄腫患者が生き長らえるために必要不可欠な薬剤です。事実、未認可時の日本国内では、サリドマイドを個人輸入し、年間1000人もの患者が摂取していました。[注2]
出典:[PDF]日本骨髄腫患者の会:多発性骨髄腫のサリドマイド治療の経済的負担軽減に関する要望[PDF]
厚生労働省から、ようやく認可がおりたサリドマイド。しかし、未だ多くの人に使用できる機会があるわけではありません。
サリドマイドは、1957年西ドイツで開発された催眠・鎮静薬。【注1】
出典:[PDF] 財団法人いしずえ:サリドマイド製造販売承認申請の審査等に関する要望書 [PDF]
承認条件であった安全管理のランニングコストが薬価に反映。サリドマイド治療を断念せざるを得ない多くの患者が生じる結果となりました
遺伝子標的治療薬「グリベック」は、慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬として、2001年末に登場。
問題点は、サリドマイドと同様に、その高額なコスト。グリベックは1錠3.200円弱。摂取量は1日1回4錠で、約12,800円となります。認可薬ですので、3割負担となり、1日4,000円の自費負担です。単純計算で、1ヶ月の負担は12,800円 X 30日 X 3割で、115,200円となりますが、高額療養費制度が適用され、毎月44,400円にまで軽減。
20年ほど前から使用されている化学療法であるインターフェロンも、同程度の高額負担。 東京大学医科学研究所による「高額な医療費をお支払いの患者の方の実態調査」によると、自己負担が高額なため、医療費に対する負担感を感じる人は、70%。高額負担によって、治療を断念しようとした患者は38%もいることが報告されています。【注3】
参考:[PDF]高額な医療費をお支払いの患者の方の実態調査[PDF]
【注1】中川久嗣(2007)「財団法人いしずえ:サリドマイド製造販売承認申請の審査等に関する要望書」
【注2】堀之内みどり(2009)「日本骨髄腫患者の会:多発性骨髄腫のサリドマイド治療の経済的負担軽減に関する要望」
【注3】児玉・松村・岸・畑中(2009)「高額な医療費をお支払いの患者の方の実態調査」
高額療養費制度が適用される?
高額療養費制度とは、医療機関へ支払った金額が、自己負担限度額を超えた場合に適用される公的医療保険の制度です。
自己負担限度額の金額は一律ではありません。年齢や所得で異なります。
数ヶ月にまたがって支払ったトータル金額で申請できるものではなく、ひと月毎に支払った金額をベースに計算されます。
2018年8月現在の70歳未満の人の1ヶ月の自己負担限度額を以下の通り。
(国保:国民健康保険/健保:健康保険/標酬:標準報酬月額)
年収約1,160万円〜
国保:旧ただし書き所得901万円超/健保:標酬83万円以上の場合
ひと月の上限額は、252,600円+(医療費-842,000円)X1%。
国保:世帯所得770万円〜1,160万
国保:旧ただし書き所得600万円〜901万円/健保:標酬53万円〜79万円
ひと月の上限額は、167,400円+(医療費-558,000円)X1%。
国保:旧ただし書き所得370万円〜770万円以下/健保:標酬28万円〜50万円の場合
ひと月の上限額は、80,100円+(医療費-267,000円)X1%。
国保:旧ただし書き所得210万円以下/健保:標酬26万円〜79万円以下
ひと月の上限額は、57,600円。
住民税非課税者
ひと月の上限額は、35,400円。
70歳以上の方の場合
現役並み
年収約1,160万円〜
課税所得690万円超/標酬83万円以上
ひと月の上限額は、252,600円+(医療費-842,000円)X1%。
年収770万円〜1,160万
課税所得380万円以上/標酬53万円以上
ひと月の上限額は、167,400円+(医療費-558,000円)X1%。
年収370万円〜770万円以下
課税所得145万円以上/標酬28万円以上
ひと月の上限額は、80,100円+(医療費-267,000円)X1%。
一般
年収156万円〜370万円以下
課税所得145万円未満等/標酬26万円以下
外来(個人ごと)18,000円・年14万4千円
ひと月の上限額は、57,600円
住民税非課税等
Ⅱ 住民税非課税世帯
外来(個人ごと)8,000円
ひと月の上限額は、24,600円
Ⅰ 住民税非課税世帯 (年金収入80万円以下など)
外来(個人ごと)8,000円
ひと月の上限額は、15,000円
国保:旧ただし書き所得210万円以下/健保保:標酬26万円〜79万円以下
ひと月の上限額は、57,600円。
住民税非課税者
ひと月の上限額は、35,400円。 【注4】
参考: 厚生労働省保健局:高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
【注4】2018厚生労働省保健局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
慢性骨髄性白血病(CML)に関する助成金制度
治せる薬があるのに、経済的な理由でその治療を受けることのできない方の支援を目的としたつばさ支援基金。
2015年~2016年に、対象疾患の方のほかにも同一家族内にがん患者がいる場合などの助成していました。「基金の活動を続けてほしい」と願う人々により、寄付はその後も継続。
そして、「つばさへの寄付」のために、白血病を経験した方がチャリティー・バスケット大会を開催することに。
2018年秋に助成開始を目指し、「つばさを再び支援基金のあるつばさへ」という活動が続いています。
対象者は、慢性骨髄性白血病・CML、骨髄異形成症候群・MDS、多発性骨髄腫・MM、消化管間質腫瘍・GIST、悪性リンパ腫・MLの治療を既に1年以上継続している70歳以下の方。そして、同一家族内にもう1人がん患者さんが居るケースで、高額療養費が毎月44,400円のご家庭です。